1.Market Salary Rate (MSR)
482ビザ取得者に支給される給与と手当の総額は「ビザ取得者のポジションに豪国籍者/永住者が就いた場合に、通常であれば 支給されるであろう
額(MSR)」を下回ることができません。それを可能とした場合、事業者による外国人雇用助長につながりかねないためです。
MSRは雇用主の事業規模、ポジション、勤務地域等によって異なります。MSRは客観的に定められているものではなく、その根拠として各種統計
や調査、類似ポジションの求人広告等をNomination申請の際に提出し、ビザ申請者に支給される給与と手当の総額が相場以上である旨を主張する
ことになります。
2.給与手当の保証額支給義務について
Nomination申請書には支給保証額であるGuaranteed Annual Earnings (GAE)の記載が求められます。就労開始後の支給額が記載額を下回った場
合はスポンサー資格の取り消しを含む罰則の対象になります。保証額の支給義務は「ビザ取得者の権利」及び「豪労働市場(における給与水準)を
守ること」を目的としています。
給保証額であるGAEに含めることができるのは、「基本給」及び「支給されること及び支給額が確定している手当」です。後者には、例えば住宅手
当、支給される車の年間リース料、子女の教育手当、健康保険料などが挙げられます。一方ボーナスや残業手当は、現在のコロナ禍でも見られたよ
うに「支給されること及び支給額」が事前に確定している訳ではないため原則としてGAEに含むことができません。
勤務開始後、実際の支給額が支給保証額を下回った場合はスポンサーシップ承認のキャンセルを含む罰則の対象となります。
3.給与・手当額をNominations申請段階で確定することが困難な場合について
「実際に住居が決まるまで住居手当額は不明」或いは「社内の事情で給与額の確定が遅れる」等のケースが時折発生します。一方、上記の通りNom
ination申請書にはGAEの記載が求められます。
従ってNominations申請段階で給与や手当額を確定することが困難な場合は、GAEとして「最低支給額として保証できる額」を記載せざるを得ませ
ん。例えば「家賃補助はおそらく年間5万ドル程度であるが、確定は不能。4万ドルは確実」という場合は、4万ドルを住居手当として申請します。
実際の支給額がGAEを上回っても問題は生じません。
4.その他
給与の一部を親会社が負担することや日本国内で支給することは可能です。
なお支給される給与や手当の額が円建ての場合には、豪ドルに換算した金額をNomination申請書に記載します。その際特定の換算レートの使用は
求められません。なお、その後の為替変動によって、実際の支給額がNomination申請書への記載額を下回った場合は、差額分を追加支給する必要
が生じることになります。